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2017-04-06

トランプ政権が制裁関税を実施。「対中包囲」の側面を見落とすな

トランプ政権が制裁関税を実施。「対中包囲」の側面を見落とすな[HRPニュースファイル1802]

※本日は、HRPニュースファイルのお休みの曜日ですが、「習近平国家首席の訪米と米中首脳会談」に関係する論考を配信をさせていただきます。

http://hrp-newsfile.jp/2017/3139/

■トランプ政権が制裁関税を実施。「対中包囲」の側面を見落とすな

幸福実現党政調会・外交部会 彦川太志

◆トランプ政権が「制裁関税」を発動

3月末、米トランプ政権が中国など複数の貿易相手国による米国向け鉄鋼製品対し、「制裁関税」を発動した事が報道されました。

時事ドットコムの報道によれば、今回、制裁関税適用の対象となった国は、中国、日本、台湾を筆頭に、韓国とオーストリア、ベルギー、フランス、ドイツ、イタリアの8ヵ国で、最高税率は148.02%に上ります。(※1)

今回の措置は、トランプ大統領が3月31日に署名した二種類の大統領令に基づくものです。

具体的には、米国の商務省と通商代表部が「不公平な取引」を調査し、「ダンピング」だと認定された取引に対して税関国境保護局が報復関税を課すことを可能とするものです。(※2)

制裁関税の実施について、スパイサー報道官の記者会見によれば、米国は16年度中に5000億ドルに上る貿易赤字を抱えており、その大きな要因がダンピング等の不正な取引であると言います。

制裁関税が適用されるのは「自国の商品を実際の価値以下の価格で米国市場で販売しようとするダンピング行為」が対象であり、特に「米国に対する輸出に政府が補助金を支給するような」ケースが念頭に置かれています。

また、「鉄鋼産業だけでなく農業、化学、機械工業」などの産業おいて米国内の雇用を守るための制度であることをスパイサー報道官は主張しています。

◆制裁関税は中国の経済覇権の封じ込めが目的

制裁関税は日本企業にも大きなインパクトを与える政策ではありますが、トランプ大統領の発言を読むと、単に自国の産業と雇用を守るだけの保護主義的政策に走ることを目的としているのではなく、中国の経済覇権を封じ込めていく目的がある事が伺えます。

事実、トランプ大統領はこの制裁関税に関するスピーチにおいて、6日に訪米を控えた中国の習近平国家首席との首脳会談で「重大なビジネス」を持ちかけるつもりであり、今まで「米国の企業、雇用において起きていた悪しき事態を、速やかに変えていく」つもりである事を明言しています。(※3)

このようなトランプ大統領の発言から、今回の制裁関税は、特に中国の政府系企業が「不当な」条件で米国市場に参入していることを念頭に置いたものであると想像できます。

◆軍事的側面からも中国包囲網を形成

また、トランプ大統領は3日付けのフィナンシャル・タイムズ紙のインタビューの中では、軍事的側面からも中国包囲網について触れています。

インタビューの中で、トランプ大統領は中国が北朝鮮の核ミサイル開発問題に関して十分な責任を果たしていないと不満を露にし、北朝鮮問題に関して「単独行動」も辞さずという、対北軍事行動の準備とも受け取れるような発言を残したと報道されています。(※4)

以上のように、4月6日の習近平国家首席の訪米と米中首脳会談の開催に向け、畳み掛けるように「メッセージ」が発されていることを考えれば、トランプ大統領は経済と軍事と言う、2つのオプションによって中国に「揺さぶり」を与え、北朝鮮問題を解決に向かって前進させようとしていると考えられるでしょう。

5日にも北朝鮮は、ミサイルを発射しました。このような情勢を鑑みれば、我が国としてはトランプ大統領が描く大戦略に歩調を合わせ、北朝鮮問題の解決を図りつつ、中国包囲網の形成を推進していくことが重要と思われます。

軍事的にはトランプ政権による「北朝鮮単独攻撃」が実施された場合に備え、米国が日本に求めるであろう役割分担等の要請に十分対応できるように準備を進める一方、経済的には、海外進出した日本企業が国内回帰を進められるような税制に転換していく、ジャパン・ファースト政策を進めていくべきではないでしょうか。

<参考・出典>
(※1) 時事ドットコム:米、日本製鉄鋼に制裁関税=トランプ政権初-商務省方針 2017年03月31日
(※2) Whitehouse:Daily Press Briefing by Press Secretary Sean Spicer — #33 2017/3/31
(※3) Whitehouse:Remarks by President Trump et al. at Signing of Trade Executive Orders 2017/3/31
(※4) 朝日新聞:トランプ氏、北朝鮮への単独行動示唆 中国を牽制 2017年4月3日
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2017-03-27

情報コンテンツの流入で北朝鮮内部からの崩壊を狙え!

情報コンテンツの流入で北朝鮮内部からの崩壊を狙え![HRPニュースファイル1796]

http://hrp-newsfile.jp/2017/3122/

HS政経塾2期卒塾生服部まさみ

◆「あらゆる選択肢」のひとつとして

ティラーソン米国務長官は、「あらゆる選択肢がテーブルの上に乗っている」と述べ、北朝鮮に対して強硬な姿勢を取る意向を明らかにしました。

「あらゆる選択肢」の一つとして、外からの圧力と共に、「北朝鮮を内部から崩壊させる」という方法を検討するべきだと考えます。

この方法についてハーバード大学ベルファー科学・国際問題研究所特別研究員のペク・ジウン氏(Jieun Baek)が『フォーリン・アフェアーズ・リポート』2017年2月号に興味深い論文を発表しています。(参考:フォーリン・アフェアーズ・リポート2017年2月号P76~P83)

◆北朝鮮に流入する外国の情報コンテンツ

北朝鮮では政府が制作または許可した映像や音楽しか視聴することができません。金正恩の抑圧体制は極めて堅固だと言われていますが、実際にはひび割れが生じており、外国の情報が流れ込んでいます。

韓国や米国には脱北者と協力して、北朝鮮に情報を流す非営利組織(NGO)が存在します。

例えば、脱北し、韓国で非営利組織を運営している人物は、国境にある中国側の川岸から外国の映画や音楽が入ったUSBメモリをプラスチックケースに入れ、分厚いビニール袋に包むと、ワイヤーを結びつけ、向こう岸に投げます。

北朝鮮側の受け取り人が袋を引き揚げ、これらを売りさばきます。

受け取り役は、非営利組織から100ドル相当の支払いを受けますが、北朝鮮では家族を1~2か月養える大金です。

しかし、国境警備隊に捕まれば、強制収容所に送られるか、処刑される恐れもあるリスクを背負っています。

見つかれば、大変なことになるにもかかわらず、外国情報の密輸販売は割のいい仕事の一つだと考えられています。このように、外国映画などの情報コンテンツの密輸は、北朝鮮の人々がリスクを冒しながら、国内外のことを知る機会をもたらしています。

◆情報コンテンツが取引されるグレーマーケットの存在

外国からの密輸品は、主にグレーマーケットで取引されています。94年から政府は度重なる飢饉に対応するために、食料を流通させようと、「チャンマダン」という市場の開設を認め、そこで生活必需品を購入し、物々交換できるようにしました。

それ以来、「チャンマダン」は発展し、現在では大型の市場が380~730か所、小さな市場はそれ以上あり、人口の約4分の3の人々が、こうした民間市場に依存するようになりました。

このようなグレーマーケットの存在が、禁止されているモノや情報の流通を容易にしたのです。

いまや海外のNGO、脱北者、密輸業者、仲介業者、ビジネスマン、買収された兵士や役人で構成される驚くほど堅固なネットワークを通じて、携帯電話やノートパソコン、タブレット端末などが持ち込まれ、北朝鮮の人々と外の世界とを結びつけているのです。

◆北朝鮮の言論統制の実態

しかし、北朝鮮では、禁止メディアの視聴は、最も重大な犯罪の一つであり、外国放送を視聴したり、反体制的な出版物を所有したりすることは「国家に対する犯罪」となり、死刑を含む厳罰に処されます。

各家庭には支給されたラジオがありますが、音量は調整できても、スイッチを切ることができないように作られており、選局はできません。ラジオからは一日中政府のプロパガンダが放送されています。

また、インターネットも一部のエリート以外は禁止され、民衆には、「光明」と呼ばれるイントラネットがあり、政府の役人が選んだ、体制を脅かさない科学ニュースや医療関連情報などの情報が流れています。

さらに、すべての家庭で使用する電子機器は、地元当局に登録しなければならず、何を見ているかを調べるため、立ち入り調査が抜き打ちで実施され、違法コンテンツが発見されると、逮捕され、禁制品は没収されます。捜査官は、違法なDVDを隠せないように、家宅捜査に踏み込む前に建物全体の電源を落として、DVDを取り出せなくするほど徹底しています。

人口2500万人のうち約300万人に携帯電話が普及していますが、国営のネットワークのみの利用で国内電話しかかけられず、通話は監視(盗聴)の対象にされています。

現体制が問題視しているのは、携帯電話よりも追跡が難しい携帯型のメディアプレーヤーで、多くの人が、グレーマーケットで中国製のMP4プレーヤーを購入し、密輸されたメモリーカードに入った動画を視聴しています。

また、中国製の「ノテテル(ノテルとも呼ばれる)」という携帯型メディアプレーヤーも人気でUSBやメモリーカード、DVDが使用でき、テレビやラジオの機能もあります。

当局だけではなく、近隣住人に通報される恐れもあるため、様々な工夫をして視聴しています。

非公式の団体やスポーツチームの結成も禁止しており、当局の許可がなければ、集会を開くこともできず、他の町に住む人の家に泊まることもできません。

巨大な密告システムを張り巡らしており、政府を批判した人物を通報した人には褒賞を与え、市民間に信頼関係が生まれるのを抑えています。監視能力も進化しており、集会を開くどころか、メッセージを送受信することさえ難しくなっているのが現状です。

◆真実の輸入

こうした捜査や厳しい言論統制は、いかに情報の流入に神経質になっているかを明らかにしています。

現体制が最も恐れているのは、外国の情報に接した民衆が、自国の体制に幻滅し、変化を求めるようになることです。金正恩は、軍事力以上に外国からの情報が一番怖いのかもしれません。

そうであるならば、私たちは、北朝鮮を内側から変える情報の力に注目すべきではないでしょうか。

デジタル製品は、現在、北朝鮮社会で重要な役割を果たすようになりました。密輸されたメディアを見て、多くの人々が、自国とその指導者について、政府による主張と現実とのギャップに気づくようになり、外の世界が、政府のプロパガンダが描くような世界ではないと理解し始めたのです。

現体制はこれまで厳しい措置を持ってしても、禁止されたコンテンツを視聴するのをやめさせることはできませんでした。

また、私たちの伝統的な外交や制裁では、北朝鮮政府に政治的・経済的改革を強いることも、武力による威嚇や抵抗をやめさせることもできませんでした。

北朝鮮が変わるとすれば、内側から変わるしかないのかもしれません。アングラ市場で広がる外国の情報や文化的コンテンツの流通は、それを推進する方法ではないでしょうか。

具体的には、技術や情報を北朝鮮に送り込んでいる韓国やアメリカなどのNGOや人権団体への資金援助を検討すべきだと考えます。

特に、外国の情報を北朝鮮の将校や知識人、政治エリートたちに知らせることが重要であり、民衆をよく知る脱北者に、コンテンツ選びや実際に情報を運ぶNGOの活動に対して積極的な支援を行うことが重要です。

今後、研究を進めていく必要がありますが、現体制の存続を脅かす方法の一つとして積極的に取り組んでいきたいと考えます。ドアに鍵をかけた暗い部屋で、誰にも見つからないことを祈りながら外の世界を見るのではなく、日本と海底トンネルでつながり、リニアモーターカーで朝鮮半島へ、そして日本と北朝鮮の若者が大好きな音楽や映画で笑い合う日が来ることを目指していきます。
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